9月模試は、なぜ難しい?

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9月からの模試は、ある意味、化けの皮がはがれる試験だ。

 

今までは、目先の狭い範囲の勉強を、しっかりやっておれば点数が取れた。

 

流水算とか、食塩水の問題だとか、出題される問題がわかっているから、基本問題と、出題範囲の問題だけ、繰り返し練習してやっておれば、そこそこの成績と、そこそこの偏差値が取れた。

 

しかし9月からの模試は全範囲の模試で、どういう問題が出るかわからない

 

基本問題は、あちこちの単元から少しずつ出題されるし、大問は、何の単元から出題されるかはわからない。

 

つまり、これが本当の実力テストであり、入試本番に向けての本当の模試だって事だ。

 

そして化けの皮がはがれるもう一つの要因が、模試の参加者が増えると言うことだ。

 

今まで参加していなかった受験生が参加してくるようになり、他塾からも他流試合として模試に挑戦してくる。

 

同じ中学受験がゴールでも、塾や会社によって、問題の作り方や学力の測り方が異なるので、違うタイプの問題で腕試しをしようというわけだ。

 

こういう他流試合を挑んでくる受験生というのは、親も教育熱心だしやる気があるので、成績が良い場合が多い。

 

となると平均点が上がるので、今までより偏差値が下がりやすい。

 

さらに9月からは徐々に模試の難易度も上がる

 

国語では抽象度が上がった文章が増え、総合的な学力がないと、何が問われているのかすら、よくわからないようなことも起こる。

 

国語の試験で試されているのは、大きく分けると

  • 基本的な読み書きができるかどうか(語彙)
  • 文章から登場人物の心情が読めるかどうか(物語文)
  • 文章から著者の論理や主張が読めるかどうか(論説文)
という三つなのだが、三つ目の論説文は、大人向きに書かれた文章から出題されることが多い。

 

そのため、社会経験の少ない小学生には、かなり難しいはずだ。

 


抽象的な概念がわかるかどうかが鍵

言葉というのは、大きく分けて「話し言葉」と「書き言葉」に分かれる。

 

話し言葉にも「基本的な話し言葉」と、「高度な話し言葉」というのがある。

 

中学受験で使われる文章は、基本的な話し言葉でできた「物語文」と、書き言葉で書かれた「論説文」の二つだ。

 

物語文では「他人の気持ちを読み取る力」を問う。

 

物語文を呼んで、その物語に登場する登場人物ごとの心情を答えさせることで、他人の気持ちがわかるかどうかを確かめるわけだ。

 

中学受験の場合、登場人物は小学生と、その友達や親兄弟、学校の先生などが多い。

 

学校生活の中で似たような事を体験している場合が多く、比較的、取り組みやすいタイプの問題だ。

 

どちらかというと、女の子の方が得意とする文章だ。

 

一方、論説文は論理的な思考力を問う。

 

これは著者がどのような事を考え、何を主張しているかを問う。

 

論説文は、抽象的な言葉や対比が多いため、何を言っているのか理解できるかどうかが問題だ。

 

また論説文というのは往々にして、世間一般の常識とは異なる主張が為されるので、道徳や常識などを疑えるかどうかも問われる。

 

つまり物語文では、道徳や常識があるかどうかが問われるが、論説文では、道徳や常識を疑う能力が問われるわけだ。

 

道徳や常識を疑う能力が求められるため、世間一般の「良い子」や「素直な子」は、ここでつまづく。

 

というのも、自分の常識にあった答えを選んでしまうからだ。

 

9月以降の国語の模試では、こういう論説文が急に難しくなり、問われる内容も難しくなるため、書き言葉の基礎力が無ければ、全く太刀打ちできなくなる。

 



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