小数の足し算と掛け算

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足し算は侮れない。

 

足し算の第一関門は、繰り上がり算だけれど、その次の難関が、小数の足し算だ。

 

実は、小数の足し算は、中学1年生になっても、間違える子供がいる。

 

小数のイメージが上手くできていなくて、

1 + 1.3 = 1.4

みたいな間違いを起こす。

 

やってることは、

10 + 200 = 300

みたいなことなんだが、本人は気づかない

 

もちろん間違いを起こしている本人に、10+200を問うたら、210と答えるのだが、小数の足し算になると、位取りのイメージがよく分からなくて、とりあえず小数点を無視する。

 

そして数字だけ足して、あとは小数点を適当に打つ感じだ。

 

この「数字だけ計算して、あとから小数点を打つ」というやり方は、小数の掛け算のやり方だ。

 

つまり小数の計算でも、足し算と掛け算の知識が混じってしまっている子供が居るってことだね。

 

小数の足し算・引き算を学んだ頃には、ちゃんと計算が出来たのだが、掛け算を学んだときに理解しきれずに、計算方法が混ざってしまったらしい。

 

というか、足し算と引き算では、小数点の位置を合わせて計算するのに、掛け算になると小数点の位置は合わせなくて良いという「ダブルスタンダード」?が混乱の元だ。

 

足し算では揃えろと言われ、掛け算では揃えなくて良いと言われたら、小学生は混乱する

 

その結果、小数の足し算も、小数点を無視して計算したあと、小数点を打つという間違いをするわけだ。

 

後から習ったルールの方が適用されているわけで、ありがちなことかも知れないが。


小数は、まだ比較的新しい概念

 

小数や分数は、小学校4年生で習う。

 

そのため、小数も分数も同じくらいの難易度で、もしかすると小数の方が易しいと感じている人も多いだろう。

 

ところが数学史で見ると、分数の方が小数より、はるかに古い時代に登場し、長い歴史を持っている。

 

古代エジプト、古代インド、メソポタミアなどには、分数という概念がすでにあって、2,000年以上前から使われている。

 

一方、小数は、12世紀頃のイスラム世界で生み出されて、16世紀頃には西欧でも広まった。

 

ヨーロッパの数学の発展には、アラビア数字とアラビア数学が欠かせないが、アラビア数字やアラビア数学の大元は、インド数字とインド数学だ。

 

算用数字というのは、別名をアラビア数字と呼ぶが、元々インド発祥でインド・アラビア数字と呼ぶこともある。

 

ただし今のアラビア数字とは、似てる数字もあり、全く似てない数字もある。

 

ではなぜインド発祥だと分かるかというと、ゼロと位取り(N進数)の概念があるからだ。

 

アラビア語は通常、右から左に文字を書いていくのだが、なぜか数字だけは左から右に書く。

 

文字は右から左に読むのに、数字だけは左から右に読むというのは、明らかに不思議なことだが、これはインド数字が左から右に書くのを、そのまま取り入れたかららしい。

 

このインド生まれの数字とインド数学が、様々な経緯を経て西ヨーロッパに伝わり、それがヨーロッパの数学を飛躍的に発展させることになる。


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