計算しやすいインド・アラビア数字が、数学の発展を促した
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小数という概念は、かなり新しい。
というのも小数が数学に持ち込まれたのは、なんと16世紀末だ。
小数点を使い、小数部分を小数点の右側に書くようになったのも、17世紀くらいだ。
さらに十進法の位取りが広まったのは、フランス革命以降のことだそうで、200年ちょっとの歴史しかない。
それまでのヨーロッパでは、1よりも小さな数字は、エジプト式分数で表していて、計算には特別な技能が必要だったらしい。
そこで、インド数学やアラビア数学で使われていた「10進法の位取り記数法」が、17世紀頃からヨーロッパ数学に導入されて、そこからヨーロッパ数学が猛烈に発展したのだ。
ローマ数字では、計算しにくい
古代ローマで生まれたローマ数字では、1をI、5をV、10をX、50をL, 100をC, 500をD, 1,000をMで表す。
ローマ数字の起源として、羊飼いが羊の数を数えるために、Iの字をたくさん書いていた事によるとか言う話だ。
ただ、このままでは3,999までしか表せない。
というのも同じ文字を4つ以上並べないという暗黙のルールがあるそうで、MMM(3,000)はOKだが、MMMM(4,000)はダメなのだとか。
もちろん4,000以上の数も表記しないといけないので、それぞれの文字の上に横棒を書くと1,000倍の数になるとか、様々なルールが付け加えられた。
ただしこれでは、複雑な計算は出来ない。
もちろんさまざまな便法があって、計算術が編み出されたが、記数法自体が複雑すぎた。
インド・アラビア数学の広まり
一方、古代インドには、位取りという概念があった。
インド数字は、ゼロから9までの10個の数字の組み合わせで、無限に数を表すことができる。
位取りというのは、数字の位置がベースの数(底)を表すという記数法だ。
数字が一つだけだと1ケタの数を表す。
数字が二つ並ぶと、右側の数字が1のケタを表し、左の数字が10のケタを表す。
さらに数字を三つ並べると、左端が100のケタ、真ん中が10のケタ、右端が1のケタ、という表記方法だ。
桁数は左にドンドン増やしていけるため、無限に数を表すことが出来る。
このインド数学の記数法は、12世紀頃に確立され、インド数学では様々な発見があった。
このインド式記数法とインド数学がアラブに伝わったため、アラビア語では、数字だけ左から右に読む。
アラビア語は、右から左に読むのだが、数字だけ左から右なのだ。
イタリア人数学者、フィボナッチの功績
そしてインド・アラビア数学を、ヨーロッパに伝えた一人が、レオナルド=フィボナッチだ。
フィボナッチはイタリアの数学者だが、アルジェリアでペルシャの数学者に学び、13世紀初頭にインド・アラビア数学を用いた様々な計算方法をまとめた「算盤の書」を著した。
算盤の書は、アラビア数字を用いた四則計算(足し算・引き算・掛け算・割り算)や、金利計算、単位換算など、様々な有益な情報をまとめた著作だ。
東大の数学の問題で、フィボナッチ数列が採り上げられたりするが、これもレオナルド・フィボナッチの仕事だね。
フィボナッチのこの本は、3世紀も後の16世紀末に、活版印刷によって広くヨーロッパに伝えられた。
そしてここから、ガリレオ・ガリレイやケプラー、ニュートン、パスカル、ライプニツ、デカルト、フェルマーなど、現在高校で習う数学・物理学の基礎的法則が発見されたわけだ。