進みすぎる塾に、子供はついて行けるか?
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学習塾にもいろいろあるが、判断が難しいのが「進み方が早すぎる塾」だ。
難関校合格者数を競っているような、大手学習塾チェーンは、勉強量も多いし、進み方が早い。
しかも生徒の実力を測るテストのために、みんな同じカリキュラムで勉強する。
ところがこれでは、ついていけない子供が続出する。
たとえば4月生れと3月生れでは、11ヶ月の差があるが、10歳前後の子供にとって、これは10%以上の差だ。
物心が付いてからの年月で考えると、15%も生きている時間の長さが異なる。
なので脳の発達段階がカリキュラムに追いつかず、分からないことだらけになるようなこともよくある。
そんなとき、好奇心を持って、分からないなりに、とにかく大まかに覚える子供と、理解できなければ次に進めない子供がいる。
大筋だけ、とにかく覚えるタイプの子供は、要点を見つけるのが上手な子供なので、あまり心配は要らない。
全体像をぼんやりと把握して、その次に詳細を理解していくというパターンだ。
しかし理解できないことがあると、先に進めないタイプの子供の場合、当然ながら先に進んでも理解はできなくなる。
こういう子供というのは小さなピースをどんどん積み上げて全体像を理解するタイプなので、その小さなピースが積み上げられないと先には進めない。
そして理解できないことが増えると、だんだんモヤモヤしていって勉強するのもいやになっていく。
イライラしたり、ヒステリックになる子供もいる。
こういう場合、学習事項を親がある程度間引いて、必要最小限だけ、まずやるという風にしないと、学んだモノが何にも残らなくなってしまうし、混乱する。
早く始めたら、できるようになるというわけでもない
進学実績がすごい塾というのは、基本的に進み方が早い塾が多い。
中学受験の有名カリキュラムの「四谷大塚・予習シリーズ」では、夏休み前に受験範囲全部の学習が終わるようになっていて、夏休みは総復習で、そのあとは志望校別の授業になる。
育伸社の「新錬成講座21」の場合は、IからIVまでの四分冊になっているが、講座対応のテストは夏休み終わりから「全範囲」が試験範囲になるので、1ヶ月くらい遅いだけ。
教える側としては、とにかく受験範囲を全部教えてから、開いている穴を埋めたり、応用力をつけさせたい。
受験を考えれば、これは当然のことだろう。
ところがこれはあくまで、有名私学や難関校の合格者数を競うためのカリキュラムであって、一般の5年生・6年生あたりには、ついて行けない。
成績がいいのはトップクラスの子供だけで、普通の子供というのはやはり普通レベルだったりする。
関東大手のSなんていう塾など、毎週のプリントや教材はすばらしいのだけれど、それに子供がついていけているかどうかは怪しい。
要点を見つけるのがうまい子供と、要点を見つけるのが下手な子供がいるから、どうでも良いことばかり覚えて、肝心なことを全く覚えていない子供も多いしね。
同じ時間に同じ授業を受けていても、記憶に残っていることというのは、子供によって全然違う。
とくにできない子供の場合、静かに聞いていたはずなのに、全く何にも記憶していなかったりするから、こういう講義タイプの授業ではどうしようも無いかもしれない。