冬期講習 親の事情、塾の事情
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殆どの学習塾が、冬期講習を行う。
学校の冬休みが始まるクリスマス前から、学校の授業が始まる1月の第一週までの、およそ12日間くらいが冬期講習に当てられる。
大晦日と正月の三が日は休む塾も多いが、それ以上休む学習塾はなかなかない。
塾の先生が、正月くらい休みたいよーと言っても、塾生の親御さんは許してくれない。
年末のごたごたした時期に、子供に家でゴロゴロされてもたまらないし、受験を控えた子供のケアまでしないといけない。
となると、お金を払ってでも塾で面倒を見てもらいたいという気持ちも分かる。
冬期講習は、塾の次の年の営業に影響する
一方、塾側の気分としては、冬期講習を子守のために使わないで欲しい。
というのも冬期講習は、学習塾にとって重要な営業期間でもあるからだ。
特に受験を控えているワケでもない生徒の面倒に、時間を割きたくない。
冬は風邪やインフルエンザが流行りやすいし、小さい子供はノロウイルスにやられたりして、塾の講師がその対応に当たらないといけなくなると死活問題だ。
冬期講習では、最後のあがき、というか、受験を目の前にしてつまづかないように、受験直前の生徒に入念な直前対策を行う。
というのも、ここでしっかりと誠意を持って生徒を指導しないと、合格実績にも響きかねない。
また悪いウワサが、地域の同じ年代の子供を持つ親御さんにクチコミで拡がることもよくある。
そうなると、次の年度の生徒募集にも響きかねない。
実際、大手中学受験専門塾では、2月から新しいカリキュラムがスタートするため、中学受験本番の1月2月は、新しい生徒を集めるためのアピールタイムでもあるのだ。
塾の表玄関に、「○○中学、○名合格!」という風に張り出すのもそうだし、面倒見の良い指導講師のウワサもそうだし、仲の良いお母さん方のクチコミも、生徒募集の重要なアピールになる。
中学受験は、不確定要素が多くて、バタバタ落ちる
ところが中学受験というのは、本当に不確定要素が多い。
合格判定で合格確率80%のA判定の生徒でもバタバタ落ちるし、B判定の生徒も当たり前のように落ちる。
合格まちがい無しだと思っていた生徒も、「ダメでした、次どうしましょう」と連絡が来たりする。
受験直前に、ひどい風邪を引いてしまったり、受験会場に着いたら、思いっ切り腹痛になる子供も毎年いる。
そういう状態で、わずか1時間足らずの試験だから、いくら立て直そうとしても、立て直しきれない。
塾ではスラスラ解けていた問題も、時間がかかったり、解けなくなってしまったりする。
人生経験が殆ど無い中学受験生にとって、寒い冬に、慣れないアウエイの会場で入試に挑むのは、大人が思う以上に難しい事なのだ。
だから、学習塾の冬期講習を受講したくらいでは、本当の意味の受験対策にはならなかったりする。