書き抜き問題ができない理由
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国語のテストによくあるの問題に、文中の言葉を抜き出す問題がある。
抜き出すのは言葉だけの場合もあるし、一文を全部抜き出すこともある。
文字数が指定されている場合もあるし、「文中の用語を用いて」という場合もある。
答えはもちろん問題文の中に書いてあって、それを見つけてただ書き出すだけだ。
なのでこれも是非得点したい問題の一つだろう。
ところが国語が苦手な子供というのは、書き抜き問題も実はできない。
文中から抜き出すだけなんだから、どちらかといえば、比較的簡単な問題だ。
だからどうしてできないんだろう?と思っていたが、どうやら国語が苦手な生徒の場合、答えをあらかじめ予想せずに探し始めているのだ。
たとえば、「『我に返る』に対照的な、それ以前の主人公の様子を表すことばを、文中から5文字で抜き出しなさい」…という問題があった。
これを解く場合、できる子供というのは、言葉を本文の中から探す前に、あらかじめ答えの候補がすでに思い浮かんでいる。
『我に返る』に対照的な言葉で、我に返る前の主人公の様子であるから、答えに我に返ると反対の意味の言葉だ。
我に返るの言葉の意味は、 (1)意識をとりもどす。
気がつく。
蘇生する。
(2)興奮がさめる。
…ってことだから、意識がない状態で、ぼんやりしているとか、無我夢中とか、もうろうとしていろか、うわのそら、浮ついていた、興奮していた、などといったような言葉だってことだ。
この時点で目標がハッキリしているから、答えを見つけるのにも指して時間はかからない。
しかし国語ができない子供の場合は、「何を探してよいのか分からない」。
求められている条件から、候補をあらかじめ絞ると言うことをしていないから、こういうことが起こってしまうわけだ。
答えの形を予想できないと、無駄な時間がかかる
国語でも算数でも、理科でも社会でも、できる子供というのは、問題を解く前に、答えや解き方の見当をつける。
つまり問題文をまず読んでから、これってどうやって解けば良いんだろう?と言う風に、色々考えているわけだ。
一方、できない子供の特徴は、「計算しなさい」と書いてあれば、すぐに計算を始めるし、「探しなさい」と書いてあれば、何を探すのかハッキリしないまま、すぐに探し始めるわけである。
自分なりの作戦を立てずに、すぐに解き始めるから、時間ばかりかかって、答えがなかなかでてこない。
国語の抜き出し問題ができない子供には、語彙力が足りなくて解けないという場合もある。
「●●を表す言葉」とあっても、その同義語や類語が分からなければどうしようもなわけだから。
しかし語彙力がそこそこあるのに、抜き出し問題ができないと言うのは、「何を答えてよいか分かっていない」「答えのカタチをイメージしていない」ということだろう。
漢字や熟語、言葉の使い方や同義語・反対語・類語・同音異義語など語彙力のトレーニングが十分できていても、それが文章題の中で使えていないと言うことだ。
たとえてみると料理を作る時に、いきなりニンジンを切って、ジャガイモを切って、肉を切って、でも何を作るのか分からないので、台所で右往左往しているようなイメージだ。
こういう子供は、ゴールがどこにあるのか考えないで、走り出すようなことをしているわけだ。