学習障害は、文字通り、学習の妨げになる。
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学習障害とは、勉強しても、なかなかそれが身につかない障害だ。
文字の読み書きがスムーズにいかないディスレクシア(難読症)や、計算が苦手なディスカリキュラ(計算障害)があり、別にアスペルガー症候群というのもある。
ディスレクシアは人口の約一割前後いるといわれ、英語圏では発生率が高くて15%前後、逆に日本やイタリアでは発生率が低い。
これは人種によって差が出ると言うよりは、文字と発音がハッキリ一致している言語では、難読症が発見されにくいのだと考えられている。
日本でも英語を学ぶ段階になってから学習障害が発見されたり、海外留学先で障害認定されたりするらしい。
たしかに中3で、成績が悪い生徒にアルファベットの「b」と「d」や「p」と「q」を書き間違える生徒がけっこういたね。
さて、ディスレクシアがある人の脳の働きと、それ以外の者の脳の働きを比べると、文字を見たときに活性化する脳の領域に違いがあるという。
ディスレクシアがない人の場合は、目で見たモノに対して反応する視覚領域が反応し、同時に音を聞いたときに反応する聴覚領域が反応する。
しかしディスレクシアの気(け)がある人は、視覚領域が反応しても、聴覚領域が反応しないのだという。
学習障害でもやるべきことは同じ。
何かを見たとき、脳の視覚領域が反応する。
これは、目でモノを見るときの正常な反応だ。
ところが文字を見たときには、視覚領域だけではなく、音に反応する聴覚領域も反応する。
というのも人間は、言葉を「音」で覚えていて、文字を見たときに、その「音」が呼び出されれ、それによって文字の意味を理解するのだ。
たとえば「言葉」という文字を見たら、脳内では「ことば」という音が引き出されて、さらに意味を引き出して理解する。
(これを「統合」と呼ぶ)ところがディスレクシア(難読症)の人は、文字の形自体がハッキリ認識できなかったり、視覚と聴覚を結ぶ経路がつながりにくくて、読み書きがスムーズにいかない状態だ。
「言葉」という文字を見ても、「ことば」という音がすぐに出てこないので、文字を見てすぐに意味が出てこないわけだ。
会話自体は普通の人と同じようにできるのだが、文字を読んだり書いたりするのが苦手なのが、ディスレクシアという学習障害だ。
ディスレクシア持ちを公言している映画俳優のトム・クルーズなどは、台本がスムーズに読めないので、スタッフに台詞を録音してもらい、それを聞いて覚えているという。
ディスレクシアの改善方法としては、漢字の読み特訓や、文章などを音読(声に出して読む)すると良いという。
文字と音と意味を結びつける練習を、根気よくやることが重要で、国語学習の第一段階の「読み特訓」が大事だ。
ただしディスレクシア持ちの人の場合、一般の人が10回で覚えられることが、30回かかったり、50回かかったりするので、何日でも何週間でも何ヶ月でも、根気よくやる必要がある。