子供がぶつかっている勉強の見えない壁とはなんだ?
更新日:
中学受験、小6の9月からの勉強法。
6年生の9月からは、入試本番に備えた勉強方法に移行する。
そこで露わになるのが、基礎学力のあるなしだ。
一斉指導塾では、6年生の夏までは、小学校で習わないような、ちょっと進んだ勉強や、頭を使う勉強を、否応なしにさせられる。
生徒が理解できるかどうかは置いておいて、とにかくまず入試で出題される全領域を教えるわけだ。
なので、子供一人一人が、どういう状態にあるのかは、模試の成績でしか判断できないし、さらに何ができて何ができていないかは、全くわからない。
しかし秋からは生徒の学力レベルにあった編成で、復習中心の勉強に変わるため、子供ができない部分がどんどんわかってくる。
夏までの勉強では、子供が理解できずできなくても、どんどん次へ進まないといけなかったが、秋からの勉強では、できないところを放ったらかしにできないからだ。
そうしてわかってくるのが、生徒一人一人の現状であり、これから何を重点的にやるべきかという課題だ。
たとえば模試の成績が悪い子供の場合は、とにかく基礎的な学習に重点を置く。
模試の偏差値が42以下だったら、徹底的に読み書きと計算練習やそして一行問題など、基本問題を徹底的にやるべきだろう。
偏差値が50前後をウロウロしている子供の場合は、基本的な読み書きや計算はできているが、苦手な単元や、ちょっとひねった問題ができないので、やっぱり基本問題に重点を置くべきだろう。
そうして指導していくと突き当たるのが、「勉強の見えない壁」の存在だ。
模試の成績が良くない、あるいは安定しない子供は、何らかの壁にぶつかっていて、そこを越えられないのだ。
面積や体積がわからない 単位もわからない
復習中心の勉強に移行すると、子供それぞれが、なんらかの壁に当たっていることがわかる。
勉強に関して「見えない壁」が何枚もあって、その壁を越えられないからこそ、成績や偏差値が低迷しているわけだ。
で、成績が振るわない子供が、まずぶつかっているのが「10歳の壁」だ。
子供の学習段階・発達段階には、「九歳の峠」とか「10歳の壁」というのがあって、偏差値42以下の子供は、この壁が越えられていない。
九歳の峠とか10歳の壁というのは、簡単に言うと「抽象的な概念が理解できない」「比較することができない」「仮の話で考えることができない」といったようなことだ。
抽象的な概念が理解できないとは、具体的にどういう感じかというと、たとえば面積とか体積などの概念がわからないのだ。
面積や体積なんて、実際に自分の目で見たり、手で触ってみて確かめたりできるものだから、具体的に手を動かしてみれば理解できてもおかしくない。
ところがこれがなぜか理解ができないのだ。
恐らく、そういうモノを理解せずとも生きてこれたってことだろうし、学校で手を動かして学ぶということをやってなかったんだろう。
そのため単位換算計算も、ままならないし、さらに速さとか濃さとか人口密度になると全くわからない。
速さとか濃さの計算というのは、単位がわからないと理解しようが無いし、人口密度などは比較のためのものだから、比較するという行為自体ができないと、意味がさっぱりわからないのだ。
こうなると、試験で点数を取らせるには、問題の解き方を棒暗記(丸覚え)させるという指導しかない。
でもこういう棒暗記の指導で解けるのは、シンプルな素直な問題だけなんだよねえ。
だから偏差値レベルが同じ中学の入試問題でも、ひねった問題を出題する中学の過去問では、全く解けないで点数が取れないという事が起こる。