子供はモノを知らないから、とにかく体験させねばならない
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子供というのは、モノを知らない。
十年前後しか生きていないし、物心ついてからも数年しかたっていないわけだから当然だ。
なので親が積極的にモノを見せたり、様々な体験をさせて育てられた子供と、そうでない子供とでは、理解力が全く違う。
というのも見たり触ったりしたことがあるモノは、すでに具体的なイメージができているので、何の苦も無く理解できる。
しかし全く見たことも聞いたこともないような物は、全く何もイメージできないので、理解が止まってしまって先に進まないからだ。
たとえば「黄金」と聞いて、「ああ、金色のピカピカしたやつね」と思う子供と「黄金っていったいなに?」と思う子供では、その先の話の進め方が異なる。
黄金を知らない子供には、まず黄金について説明しないといけないが、実際にやってみると、これがなかなか難しい。
私も小学2年生の女の子に尋ねられたとき、うまく説明ができなかった経験がある。
子供が見たり聞いたりしたことがないものを、子供にうまく説明して理解させるなんて事は、まずできないと思った方が良い。
なのでロン・ハバートの「勉強の技術」には、マス(質量のあるもの)が重要だと書いてある。
黄金を教えたければ、黄金の実物を探してきて、それを見せるのが一番わかりやすい。
金貨があれば金貨を見せても良いし、黄金でできたアクセサリーがあれば、それを見せても良い。
それが無理ならば、黄金が出てくる絵とか、黄金の模型みたいなモノがあれば良い。
博物館などに行くと、黄金を使ったモノは、なにか一つくらいあるだろうから、そういうところへ行って見せても良いが、それくらいやらないと、子供には理解できないのだ。
実物がないと、物事は理解できない。
言葉や字面では知っていても、実際に経験してみなければ、分からないと言うことは非常に多い。
たとえばギャンブルや株などで、大損してもなお、続けている人がいる。
アイドルと握手するために、毎月毎月、10万円以上つぎ込んでいる人もいる。
こういうことは、自分が実際にハマってみなければ、何が良いのかさっぱり分からない。
しかし人生経験が長ければ、何かに熱中して、大金をつぎ込んでいたという経験もあるだろうから、その経験を援用して想像することもできるだろう。
ところが人生経験がほとんど無い子供には、似たような経験や、似たようなモノを知らないから、言葉でモノを説明するのは殆ど不可能だ。
子供は、犬やネコなど、身の回りで見たり触ったりできるモノは、容易に理解することができる。
しかし見たことも触ったこともないようなモノを、言葉だけで想像しようとしても、参考にする手がかりすらない。
だからこそ動物園や水族館に連れて行ったり、絵本や図鑑、イラストや漫画などを与えることが、子供の学習にとって非常に重要になる。
旅行もいかない、博物館などにも行かない、家に辞書も図鑑もマンガもないような家庭では、子供は知識を増やすことができないから、こういう状態で、成績が上がったらおかしい。
特に中学受験の勉強というのは、子供にとって見たことがないモノの話が多いし、国語は他人の感情を想像するような事も多いから、いかに子供に様々な体験をさせ、それを記憶させるかが重要になる。
これがつまり「家庭力」というもので、成績の良い子供の家庭と、成績の悪い子供の家庭は、家庭環境が天地ほども差ができている。