パズルを解くことが、実は勉強の王道
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塾で学習パズルなどをやらせると、親御さんから文句を言われることが多い。
男親から文句を言われることは無いが、女親から文句を言われる場合が多い。
こういう家庭はたいてい、余裕が無い状態になっていることが多くて、子供も精神状態が不安定だ。
なので子供は塾に来ても勉強にも身が入らず、すぐに気が散ってしまいがちでフラフラする。
そこで勉強の合間にクロスワードパズルや、計算パズルで気を落ち着かせるという方法を採るのだが、余裕のない親御さんは、それが理解できない。
彼女らにとっては「パズル=遊び」であって、なぜわざわざそんなことをやっているのか試行錯誤せず、「勉強に関係ないことをやっている」と激怒されるわけだ。
学問や科学とは人間界や自然界のパズルを解くことだから、パズルを解くのは勉強の本道だし、入試などもパズルの塊だ。
勉強には試行錯誤することが重要で、ああでもない・こうでもないと色々やってみて解くパズルは、勉強に取り組むには非常に良いツールなのだ。
実際、難関中学に生徒をたくさん合格させている宮本算数塾などでは、低学年の生徒には1年中パズルだけやらせてるんだが。
ところがあまり勉強したことがない親御さんには、こういうことが根本的に理解できないらしい。
彼女らにとっては、モノを覚えることが最重要で、たくさんモノを覚えたり計算できるようになるのが「勉強」らしい。
それだと、偏差値42以下の学校にしか受からないレベルだが。
一方、成績が良い子は学習マンガや、学習パズルを親に買ってもらってすでに持っているし、新しいパズルを与えると、すぐに一生懸命になって取り組む。
「これ貸してあげようか?」と学習マンガやパズルを何冊か出すと、「あ、これとこれは持ってるから、これだけ借ります」といって1冊か2冊だけ持って帰る生徒も多い。
やっぱ、成績が良い子供の親って、いろいろ探して試しているんだなあとしみじみ思う。
パズルとは知識を増やすのではなく、固めるツール
勉強というのは、モノを覚えるという部分(学習の第一段階/インプット)と、覚えたモノを使うという部分(学習の第二段階/アウトプット)に分かれる。
漢字の読み書きや計算練習は、モノを覚えるというレベルの学習で、クロスワードパズルや計算パズルは、覚えた言葉や計算力を使って行う学習だ。
こういう風に、覚えた事を使う機会があると、人間の脳は「この情報は大事だな」と思って、しっかり記憶に留める。
しかし逆に使わない情報は、要らない情報だと判断して捨ててしまうので、覚えても覚えても覚えられなくなってしまう。
「モノを覚えるコツは、覚えた事を他人に話すこと」、なんていう秘訣もあるけれど、インプットしたモノをアウトプットすることが、学習効果を上げるのに重要なのだ。
英会話なども、英語を話す必要があってやる場合は、どんどん英語力がついていくのだけれど、英語を話す必要が無ければ、英語力はつかない。
浅草・浅草寺周辺の土産物屋さんなどは、外国のお客さんに対して英語で説明できる人も多いらしいが、これも実際に毎日使うから、英語が定着するわけだ。
学習パズルをしたからと言って、言葉が増えたり、計算できるようになるわけではないので、勉強に役立たないと主張する人もいるようだ。
しかしクロスワードパズルや計算パズルは覚えた事を外に出すアウトプット法だから、知識が増えないのは当たり前だ。
学習パズルは、覚えた言葉や計算力を使って、試行錯誤して基礎学力を固めるためのツールであって、決して効果を甘く見てはいけない。
因みに、カナダのトロント大学でも最近、認知症予防(ボケ防止・物忘れ防止)に唯一役立ったのは、脳トレパズルだけだったという報告が出ている。