中学受験 塾推薦とは
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受験直前の冬期講習は、ほぼ総復習に当てられることが多い。
というのも入試を一ヶ月後に控えた時期に、新しいことをやっても定着しないのだ。
ところが、できない生徒の親御さんに限って、何か裏技みたいなモノで、受験をうまく突破できるんじゃないかと思っていたりする。
出題パターンが決まっている模試ですら、あまり良い成績が取れないのに、なぜか受験では上手く行くかもという、謎の思考法には、いつもビックリさせられる。
ただ、中学受験は私立学校の受験だから、ちょっとした方法がないでもない。
それが「塾推薦」だ。
塾推薦は、必ずそこへ進学する前提でもらえる
塾推薦とは、学習塾からの推薦があると、入試で多少悪い点だったとしても、入学させてくれるという制度だ。
赤本には、過去数年分の合格最低点が載っているが、それよりも低い点数でも、塾推薦で合格できたりする。
イメージとしては、合格最低点が55点と書いてあったとしても、45点くらいで合格がもらえたりするのだ。
もちろん、塾推薦をもらって合格した場合は、必ずその学校に入学しないといけない。
専願だからこそ、点数が悪くても入れてくれるわけで、併願では塾推薦はもらえない。
これは高校入試でも同じだし、大学入試の指定校推薦でも同じだ。
しかしなぜ、学習塾の推薦で、中学が合格を出してくれるのか。
それは、中学受験生の親御さんが、あんまり私立中学の名前を知らないからだ。
親御さんに知られていない私立中学も多い
私立中学は、かなり評判の良い学校でも、世間的に知られていないことが多い。
というのも私立に進学する家庭は、まだまだ少数派だ。
だから、どこそこ中に進学したと言っても、そんな学校のことなんか知られていないのだ。
近くにある私立中学ならまだしも、電車やバスで通わねばならない、ちょっと離れた学校のことなんか、知ってる人の方が珍しいくらいだ。
そしてそれは、中学受験をする親御さんも同じだ。
自分の子供が通える範囲に私立中学が10校くらいあっても、知ってるのはそのうちの数校だ。
地域内の学習塾業界では、知らない人はいないような私立中学でも、小学生の子供を持つ親御さんには、全く知られていなかったりすることもよくある。
いくら良い教育を行っていたとしても、親御さんに知られていないのでは話にならない。
そこで塾推薦という制度があるのだ。
塾推薦は、私立中学の生徒集めの方法の一つ
あまり有名でない私立中学は、生徒集めに非常に苦労している。
学校の存在自体、知られていないのであれば、存在しないも同然だ。
存在しない学校に入れたいと思う親御さんは居ないし、授業料を払っても良いと考える親御さんも居ないだろう。
そこで自分の学校の事を知ってもらおうと、私立中学では、様々なイベントを開催している。
たとえば私学フェアに参加したり、首都圏模試・統一合判テストの待ち時間を利用して、子供の付き添いで会場にやってきた親御さんに説明会を開いたり。
そして私立中学の営業活動は、学習塾向けにも行われている。
だいたい6月くらいから夏休み前まで、前年度の入試の結果や、今年度の方針など、学習塾向けの説明会を開く。
また営業担当の先生が、地域内の学習塾訪問に回って、名刺とパンフレットを置いて帰ったりする。
学校名の入った消しゴムなどの販促グッズを、毎年のように置いていかれる中学もある。
学習塾側では、こういう営業熱心な私立中学とコンタクトを密に取って、「いざ」という時に備える。
いざという時とは、塾生が進学する中学を見つけられないときだ。
たとえば、第一志望や第二志望の中学に合格できず、途方に暮れている受験生。
どうしても私立に行かせたいが、学力がもう一つで、なかなか行く中学が見つからない受験生。
こういった場合、塾推薦枠を設けている私立中学の受験担当の先生に連絡して、塾から推薦する。
生徒が欲しい私立中学と、進学先を見つけたい親御さんや学習塾をつなぐのが、塾推薦ってことだね。
もちろん塾推薦があっても、面接で不合格になることもあるので、塾推薦で必ず合格できるとは限らないんだけどね。