漢字のトメ、ハネ、ハライに正解はない
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塾で漢字学習を指導していると、漢字の「トメ、ハネ、ハライ」に異常に執着する親御さんが居る。
たいてい、字はきれいだが、仕事はさほどできないタイプの親御さんによく見られる傾向だ。
こういう親御さんは、たとえば
- 「木」の縦棒は、ちゃんとトメなさい。
- 「公」の2画目は、ちゃんとハライなさい。
しかし実を言うと、木の縦棒はトメでもハネでも良い。
公の2画目は、払っても止めても良い。
というのも、どちらであっても、「木」「公」と認識できるからだ。
トメ、ハネ、ハライが違っていても、他の文字と間違えないのは、文字の骨格である「字体」が正しいからで、字体が正しければ、どれでも正解なのだ。
要するに、意図している文字として読めるなら、トメようがハネようが払おうが、良いって事だね。
これは最近どちらでも良くなったのではなく、昭和24年から、そう決まっているのだ。
平成28年2月に文化庁から出された「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」から、少し抜粋すると、昔からこういう違いは許容されている。
正しい字形だとされている例(昭和24年)
字体・字形・字種の違い
こちらは字体と字形と字種という用語の違いの説明。
文字の骨格が「字体」、トメ・ハネ・ハライが「字形」で、字体が正しければ、字形は個人の自由ってことらしい。
漢字のトメ、ハネ、ハライには、年代差がある
塾で漢字学習を指導していると、文字のトメ・ハネ・ハライを、しっかり指導してくれと、文句を言ってくる親御さんが居る。
しかし塾ではこういう指導はできない。
というのも漢字というのは、文字の骨格の「字体」が正しければ、トメ・ハネ・ハライなどは、好きに書いて良いことになっているからだ。
「木」という字のの縦棒は、トメでもいいしハネでも良い。
新聞や雑誌の活字や、インターネット上の文字では、止めているモノが多いため、トメが正解だと思っている人も多いが、実ははねても構わないのだ。
「本」なんかの縦棒も、はねて書く人は多いはず。
つまり他の文字と混同しない範囲なら、どういう風に書いても良いのだ。
しかし最近はこのトメ・ハネ・ハライに執着したりする人も多いようで、役所でも文字の書き直しを求められる場合が多々あるらしい。
なので漢字を担当する文化庁から、改めて字形に関する発表が出ている。
常用漢字表の字体・字形に関する指針(文化庁・平成28年2月)
しかし,近年,手書き文字と印刷文字の表し方に習慣に基づく違いがあることが理解されにくくなっている。
また,文字の細部に必要以上の注意が向けられ,正誤が決められる傾向が生じている。
人によって異なる「正しい字形」
字形に関する認識アンケートの結果要するに、パッと見て意味が分かれば、文字としてはOKってことだと理解した方が良いね。
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