中学受験の特殊性とダブルスクール
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子供の成績が伸びない場合、転塾を考えた方が良い。
3ヶ月塾に通わせて、それで成績が伸びないなら、さっさと転塾せよと書いてある指南書もあったりする。
塾を替えて子供の性格に合っておれば、メキメキ成績が伸びる。
そういうケースも確かにあるだろう。
ただ、中学受験の場合、転塾は簡単な話ではない。
というのも中学受験では、試験範囲が小学校の勉強を逸脱していて、かなり難しい。
普通の小学生が読まないような大人向けの論説文を読んだり、ツルカメ算や植木算、ダイヤグラムなども普通に学ぶことになる。
なので中学受験では、まずその特別な出題範囲を学習しなくてはならない。
そのために中学受験塾では、それぞれ別のカリキュラムと別の教材で、先取り学習ならぬ特別学習の授業を行っている。
日能研には日能研のカリキュラムがあり、サピックスにはサピックスのカリキュラムがある。
これらのカリキュラムは、四谷大塚とは全然違う。
また中小塾や個別指導塾でよく使われている育伸社(いくしんしゃ)の中学受験カリキュラムも、上記の中学受験カリキュラムとは別の編成になっている。
首都圏模試の試験範囲表も、また別のカリキュラムになっている。
なので大手塾から別の大手塾に転塾する場合、重複する単元が出来たり、漏れる単元が出来たりする。
コレはあまり良くない。
しかし逆に言うと、必要な単元学習が全て終わった7月以降であれば、いつ転塾しても構わないと言うことになる。
ダブルスクールか、転塾か
塾に3ヶ月通わせて、それで成績が上がらなければ、転塾せよというのは、学習塾がダブルスクールになっている場合の話だ。
一般の学習塾の場合、学校の授業にプラスアルファの形で塾で勉強する。
学校と塾という「ダブルスクール」だからこそ、コロコロ塾を替えても大丈夫なのだ。
ところが中学受験の場合、学習塾がメインになるため、コロコロ塾を換えるのは難しい。
そこで転塾ではなく、個別指導タイプの塾にも通わせて、成績を伸ばそうという考えになる。
単元学習は大手の受験塾で、学力アップは個別指導塾で、という作戦だ。
経済的な余裕があるのであれば、小5の夏くらいからダブルスクールを試しても良い。
そしてもし大手塾の授業が子供に合わないようなら、学習カリキュラムが修了する小6の夏前に辞めて、個別指導塾だけにするのも良いかも知れない。
もちろん、良い講師の居る個別指導塾をみつけることが出来ればの話であるが。
実際のところ、大手中学受験専門塾チェーンに通っていたが、合わないので個別指導塾に転塾してくる生徒さんも、毎年のように居る。
大手塾は、明らかに「物凄く出来る子供」に焦点を当てているため、さほど勉強が得意でない子供には、消化不良になるのだ。
女の子の場合は、友だちづきあいが悪いことで転塾に至ると言うことも多い。