12月になっても、過去問が解けない
更新日:
中学受験本番が近付いてくると、生徒が入れる学校があるのか心配になってくる。
偏差値が高くて学力レベルが十分な生徒の場合は、志望中学のレベルを落とせば、いくらでも入れる中学があるが、学力レベルが低い生徒の場合は、なかなかそうは行かない。
また多少できる生徒でも、自分の子供の学力と志望校のレベルがよく分からない親御さんは、難関の超有名校しか念頭になくて、とんでもない志望校を言い出してきたりする。
少し計算力がある程度で「慶應狙えますか?」などととんでもないことを言ってきて、塾講師は愛想笑いして話題を逸らせるしかなかったりする。
塾講師から見て、合格可能性が高いのは、12月の段階で、志望校の過去問で合格点が取れる生徒で、こういう生徒は余程ひどい風邪でも引かない限り、合格は間違いない。
もちろん12月の段階で過去問がスラスラ解けても、本番はまた全く違う問題を解くわけだから、楽々合格とは行かないのだけれど。
しかしたいていの生徒は、12月の段階で志望中学の過去問が解けないことが多い。
難しい学校になればなるほど、要求されるレベルが高くて、時間がかかる難問も混ざっていたりするので、そう簡単には合格点にたどり着けないわけだ。
なので過去問を解いて点数を付けて、合格最低点とつきあわせて、生徒とどうすべきか見当したり相談することになる。
中学受験生の場合、作戦も立てずに、やみくもに1番から順番に問題を解く子供もいて、問題が解けないとそこで時間を浪費してしまったりする。
そうしてうまく点数が積み上げられず、合格点まで手が届かないことも多い。
集中力がありすぎて、かえって点数が取れない?
受験本番が近付くと、過去問中心の学習になる。
過去問を解いたあと点数を付けて、生徒と点数の取り方を検討したりする。
生徒によっては、1番から順番に解かないと気が済まない子供もいて、何も考えずにやみくもに順番に解こうとする。
逆にできる生徒の場合は、最初に問題全体を見渡して、解く問題に○印を付けたりして、優先順位を付けていたりする。
あるいは、解くのを後回しにして、後で分かりやすいように、飛ばした問題に○印をつけるような生徒もいる。
そういう風に問題に印を付けている生徒の場合は、問題を解く優先順位が分かっているわけだから、やみくもに一番から解く生徒よりは対策が立てやすい。
自分がやるべき事は、点数を合格最低点まで積み上げることだ、という認識もハッキリできているし。
こういう生徒の場合、親とのコミュニケーションもそこそこ良いので、志望校が無理目の場合も何となく親御さんにそれが伝わっていたりする。
もちろん、小学生くらいの子供を持つ親御さんは若くて、見栄っ張りだったり世間知らずって事も多いから、志望校のレベルを下げてもらうのは、中々難しいのだが。
一方、問題に優先順位を付けずに、頭から解いていこうとする子供の場合は、点数を積み上げるという意識がまずない。
自分がやるべき事は、点数を積み上げて合格することだという認識がない。
こういうタイプの生徒は、よくできる子供にもいる。
面白そうだが時間がかかる難問を解くことに執着してしまって、そのあとに出てくる比較的簡単な問題が、時間不足で正答できなかったりする。
これなども作戦ミスみたいなモノなのだが、集中力が返ってアダになってしまうパターンだ。
勉強ができる子供というのは、集中力が凄いので、逆にこういうことも起こってしまう。
大学受験のような、2時間も3時間も時間があるならまだしも、50分しかない中学受験の試験時間では、これは中々マズいね。