物語文は、長い物語の一場面を問題に使う
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国語の入試問題で必ず出る「物語文」というのは、実は物語そのものではない。
物語文は、物語のほんの一部だけをテスト用に取り出していることが多いのだ。
論説文の場合は、著者の主張を順序立てて説明する文章なので、省略しようにも省略できない事が多いし、フルサイズで載せても大した分量にはならない。
しかし物語文の場合は、数十ページ以上ある物語の中から、国語の問題として使える様な部分だけ抜き出して、その場面だけで問題を作っている。
なので、最初から読めば、登場人物の性格や、心境の緩やかな変化が分かるような物語でも、途中の一部分だけ抜き出しているため、状況がつかみにくくなっている。
過去問の解説などで、「なんでこんなことが、問題文からわかるんだ」というような事が何の予告もなく、いきなり書いてあったりもするが、出題された文章以外の部分も通して読めば、こういうことだったのか、と分かるのかもしれない。
つまりこの登場人物は、以前にこういう事件を起こし、最終的にどうなったかを知っているからこそ、問題文だけ読んでも分からないはずの、不思議な解説が出てくるわけだ。
物語文は、小説や物語の一部を取り出しているので、普段から小説や物語をいろいろ読んでいる子供の方が、圧倒的に有利になる出題形式だろう。
だから物語文で点数を取ろうと思ったら、入試に使われるような物語を最低20くらい読み、キャラクターと心理描写のパターンをつかまないと無理だろう。
中学受験用に、読んでおくべき話を、100話くらい載せた本も売っているから、それを利用しても良い。
物語文の解き方
物語文は、長い小説のうちの一場面、ほんの数ページだけを取り出して、問題を作っていることが多い。
物語の途中から読み始めて、登場人物の置かれた環境や今の状況、登場人物の性格や関係などを、短い問題文中から読み出さねばならない。
言ってみれば、初見でドラマの途中だけ見せて、「はい、この人は今、どういう気持ちになったでしょう?」なんていう風に質問をしているわけだ。
しかも入試問題の場合は、なぜそういう心境になったのかを、詳しく説明している部分は使われないから、登場人物の態度や仕草、顔の表情などの描写から、どういう心境になっているのかを考えないといけない。
つまり物語文で点数を取るには、心情を表す言葉や描写を分析する力が必要なのだ。
なので物語文の問題を解く方法として、行動・言動・しぐさなどを表す言葉に印を付けていき、なぜそう言うことをしたのか探るやりかたがある。
つまり物語文は「心境を表す言葉」を探しながら読んでいけば良いという事になるわけだが、主語と述語すら抜き出せない子供もいる。
また日本語は、主語の脱落が多い言語で、誰が何をしたのか、わかりにくいような文章も多い。
こういう場合は述語から主語を割り出すのだが、これだって小学生レベルだと、難しかったりする。
小説を読み慣れている子供の場合は、こんな作業をせずとも頭の中で人物が勝手に動いてくれて答えが出てしまうのだけれど、そうでない子供の場合は、手を動かして作業しないと答えが出てこない。