人間の脳は、10歳前後に完成する
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人間の脳は、10歳前後に完成する。
0歳から3歳までは、脳細胞が増殖しつづけ、3歳から7歳までは、脳細胞の数が減っていく。
7歳から10歳までは、脳の神経が複雑に絡み出す時期で、人間の脳はここで大きな転換期を迎える。
その転換期が9歳から10歳くらいで、「九歳の峠」とか「10歳の壁」などと呼ばれる。
児童心理学などでは、10歳までは「具体的操作期」と呼ばれ、モノを考えるときに、見たり聞いたり経験したことなど具体的なモノで無ければ、考えることができない期間だ。
そのため10歳未満の子供の思考は非常に具体的で、さほど複雑なことは考えられないのだ。
算数の計算でも、手順通り計算することはできるが、計算のやり方を工夫したり、やり方を検討したりはできない。
言われたとおり、覚えたとおりやるだけしかできないわけだ。
そしてまた10歳くらいまでは、「形は変わっても同じ」ということがわからない。
たとえば同じ形で同じ大きさのコップに、同じだけの水入れると、同じ量だと言うことは幼児でもわかる。
しかし片方のコップの水を、それより細長いコップに入れ替えて比べさせて、幼児にどちらが多いかと尋ねると、たいてい液面が高くなっている方を「多い」というふうに答える。
幼い頃は、大きさは長さとして捉えているらしく、長いと多い、短いと少ないと言う風に捉えるのだ。
(※幅で大小を考える子供もいる)
子供は、モノの大小を、長さで捉える
小学3年生くらいまでは、保存の概念が分からない。
体積が同じだとか、重さが同じだとかより、長さや幅で多い少ないを判断する。
なので同じ体積のジュースであっても、違う形のコップに入れ替えると、どちらが多いのかよく分からなくなる。
同じ形のコップから、違う形のコップにジュースを移しても、分量は変わっていないのだが、3年生くらいまでは、「形が変わっても、量は変わらない」という「保存」の概念が理解できないのだ。
しかし10歳前後から、これがだんだん理解できるようになってくる。
また背の高い順に並べると言ったようなことも、幼児にはなかなかできない。
もちろんこれが具体的な人物の話であったり、目の前にある人形の話であれば、自分で比べてみて答えることができる。
目に見えるモノの比較であれば、「具体的操作」であるから理解できる。
ところが頭の中だけで考えて、比べることができないのだ。
こういう頭の中だけで考えるのを「形式的操作」と呼ぶ。
形式的操作というのは、目の前に無いものについて考えたり、友情や自我と言った、抽象的で目に見えないモノについて考えたりすることだ。
小学校4年生くらいからは、こういう、目に見えない抽象的な物事を学び始めるため、ここをうまく乗り越えられないと、中学受験ではかなり苦戦することになる。